金貸し銀行カードローンと自己破産件数の増加に因果関係は?

半沢直樹がドラマで「銀行も所詮、金貸しだ」と言っているように、広い意味で銀行は金貸しです。

そんな銀行ですが、個人向け貸付金(銀行カードローン)は2013年頃から消費者金融を上回っています。

ちょうどその頃から自己破産件数も増加し始め、はたして銀行カードローンと自己破産件数に因果関係があるのでしょうか?

銀行カードローンと自己破産の因果関係を明確に示すデータはない

これまで金貸し銀行カードローンと自己破産をそれぞれ見てきましたが、この二つに因果関係がありそうに思えてきませんか?しかし因果関係を明確に示したデータはありません。

実際、自己破産件数に影響を与える要因は多数あり、銀行カードローン残高だけで判断するのは違います。自己破産件数増加の原因が分からなければ対策のしようがありませんので、

法律を改正するところまでは進んでいないようです。

自己破産件数は2003年がピークそして減少へ

金貸しは2000年の出資法の改正以前は「サラ金」と呼ばれる時代もありました。2000年の出資法の改正では上限金利が40.0%から29.2%へ引き下げら

、2003年をピークに消費者金融の貸付残高も減り始めそれと比例するように自己破産件数も減り始めます。

同じ2003年には司法書士法が改正され、いままで弁護士にしか認められていなかった民事での和解交渉や訴訟代理が140万円以下という条件付で司法書士にも認められるようになりました。

これによって自己破産以外の債務整理、任意整理や自己再生などが活用されることが増えたのも自己破産件数の減少につながったのではないかと言われています。

もう一つ出資法の改正によって払い過ぎていた利息を返済請求できるようになり、借主の資金繰りが楽になったというのもあります。40.0%から29.2%へ引き下げられたので払い過ぎていた

利息を返済請求できるようになったのです。一時期ブームにもなった「過払い金請求」です。これによって借主の資金繰りが改善され自己破産件数の減少につながったと言われています。

減少していた自己破産件数が2016年から上昇

自己破産件数は2003年の約251,800件がピーク、2004年が220,261件、2005年が193,179件、2006年が174,861件、2007年が157,889件、2008年が140,941件、2009年が137,957件、2010年が131,370件、2011年が110,451件、2012年が92,555件、2013年が81,136件、2014年が73,370件、2015年が71,533件、2016年が71,838、2017年が75,639件になります。

2003年のピーク時は1日に690人が自己破産していた計算になります。2015年が最小で1日に196人で2017年には207人が自己破産しています。2016年と2017年をくらべると6,4%の

増加、人数にすると3,801人の増加です。この数字がなにを意味しているのか気になるところです。

金貸し銀行カードローンが過熱?

銀行カードローンは、消費者金融よりも金利が低めに設定されているのはご存知のとうり、

融資額も年収の1/3まで借りられる総量規制の対象外に当たる為、年収の1/3以上融資する銀行も存在するようです。

いまや大人気となった銀行カードローンですがここ数年、銀行カードローン残高※が増加傾向にあります。

※銀行カードローン残高とは個人が銀行から借金している総残高のことです

2011年度末は3兆3,124億円だったのに対し、2016年度末は5兆6,024億円と大幅の増加です。たった5年で2兆2,900億円の増加ですから

1年間で4,580億円です。1日あたり12億5千万円近い金額が2011年以前より貸し出された計算になります。

過熱した銀行カードローンと自己破産件数

銀行カードローン残高が増えたころ、2016年には自己破産件数も13年ぶりに増加傾向になりました。やり玉に上がっていることはこの点で

「銀行カードローン残高の増加が自己破産立件数の増加の原因」という見解です。

その見解は日本弁護士連合会の金融庁に対する「銀行等のよる過剰貸付の防止を求める意見書」に詳しく書かれています。(2016年9月16日)

内容をざっくり説明しますと

「銀行等の金融機関は顧客の借入状況を把握し原則、借入残高が年収の1/3を超える貸付を行わないように」

といった内容です。と言う事は、それまで顧客の借り入れ状況を把握せずに貸付していたようです。これでは「審査なし」といっている〇金と同じになってしまいます。

銀行の言い訳は「保証会社に審査を任せていた」ということです。確かに保証会社である消費者金融は、これまで貸し付けを行ってきた豊富な経験とデータがあります。

が、これは消費者金融にとって好都合です。これまで賃金業法の総量規制で貸付できなかった人にも銀行が貸付することで、銀行から保証料を貰えるわけです。

消費者金融としては「借主が返せない確率が高い」と分かっていても審査に通し保証料を貰うでしょう。違法なわけではないですし、金貸しが商売なわけです。

金貸し銀行カードローンが貸していた金額

意見書を提出した背景には銀行が総量規制(年収の1/3以上)を超える貸付があったようです。

金融機関へのアンケートの内容もあり

・年収356万円の40代女性に対し433万円を貸し付け
・年収220万円の60代女性に対し500万円を貸し付け
・年収160万円の60代男性に対し226万円を貸し付け
・年収226万円の50代男性に対し960万円を貸し付け
・年収150万円の50代男性に対し270万円を貸し付け
・無収入の50代男性に対し300万円の貸付

といった貸付があったようです。

この結果だけみると賃金業法の総量規制の総量規制を大きくかけ離れた貸付で、批判があっても仕方ないのかもしれません。

批判をしている日本弁護士連合会は賃金業法の総量規制を銀行にも当てはめるべきとの主張ですが、銀行はどんな法律のもと貸付しているのでしょうか?

銀行は銀行法に則った貸付をしている

そもそも銀行は銀行法に則った貸付を行い、アコムに代表される消費者金融の賃金業法とは違います。

賃金業法は総量規制(年収の1/3以上の貸し付けを行ってはならない)がありますが、銀行法にはそのような規制がありません。

ですので2016年ごろは年収以上の貸し付けがされていたのです。

※2019年現在、銀行は自主規制をいう形で年収の1/2~1/3の範囲内で貸し付けをしています。

むしろ年収の1/2~1/3の貸付範囲が借主の利便性はいいのか、むしろ利便性をそこなっていないかという意見もあります。

返済能力はあるのに年収の1/2~1/3の範囲内の貸付では借主にとって機会損失になりかねません。

しかし麻生金融大臣の国会答弁や世論に押し切られる形で、現在銀行は年収の1/3の範囲に自主的に規制しています。

金貸し銀行は年収以上も貸せたのか?

先ほど銀行は「年収以上の貸し付けをしていた」と言いましたが、なぜそんなことをしていたのでしょうか?疑問に思いませんか?

借主が返せなくなるリスクを考えずにどんどん貸していたわけですから、返せなくなったら銀行が困りそうですよね。

でも銀行は困らないんです。銀行はアコムなどの消費者金融に保証料を払い保証会社となってもらいます。

保証会社の役目は銀行カードローンの借主が返済できなくなった場合、保証会社が借主の変わりに銀行にお金を払ったり、借主に催促や取り立てを行います。

なので銀行は催促や取り立てなど余分なことは気にせず、貸し付けだけを行いジャンジャン貸していたのですね。

余談ですがアコムなどの消費者金融は保証会社を利用していないのが特徴です。消費者金融は自社で保証業務をするので、昔から催促や取り立てに関するスキルがあるのです。

金貸し銀行カードローンは儲かるビジネス

金貸し銀行のビジネスモデルは低金利で集めたお金を高い金利で貸し、その利ザヤで利益をだします。

低金利で集める方法は、代表的なのが普通預金です。毎月給与が私たちの普通預金口座に振り込まれ、それを元手に住宅ローン、カーローン、カードローンなどとして貸し出されるのです。

銀行は金利0.02%で借りたお金を借主に15%ぐらいの金利で貸すわけですから、そりゃ儲かります。保証会社に保証料を払ったとしても、まだ儲かります。

ですが本来、金貸し銀行の主な役目は企業への融資です。しかし企業への融資は不調です。リーマンショックの時ですが、企業は銀行から貸しはがしにあいました。

返済を滞ったこともないのに融資を一方的に減額もしくは取りやめたりしたのです。

ですので企業は銀行をあまり信頼せず、融資を受けて資金繰りをするよりは、金融ショックなどに備えて内部留保を増やす傾向にあります。

銀行の本来の役割としては金融ショックの時ほど、企業に融資するべきだと思います。が、貸し倒れリスクもあり現在、銀行としての機能はしていないのが現状のようです。

それよりも貸し倒れリスクの少ない個人ローン、特にカードローンは利ザヤも大きく儲けも大きいのです。

金貸し銀行カードローンで50万円以上借りる場合は収入証明書が必要

以前は無職に300万円貸し付けしていたこともあったようですが、現在は50万円以上借りる場合は収入証明書が必要になりました。

メガバンクと言われる大きな銀行ほどその傾向が強く、収入証明書の提出を求められる条件としましては

・希望額が50万円を超える場合

・東京スター銀行、イオン銀行は希望額関わらず必要

・住信SBI、楽天銀行は非公開

・ジャパネット銀行は300万円を超える場合

・セブン銀行は原則不要

自営業者は収入証明書が必須

先ほどまでは会社員が借りる場合の話でしたが、自営業者となると話が違ってきます。まだまだ自営業は収入が不安定で会社員より安定していないというのが社会通念のようです。

借りる金額に関係なく自営業者は収入証明書は必ず必要で、確定申告書があれば問題ないようです。

銀行カードローンと自己破産の因果関係を明確に示すデータはないh3

これまで金貸し銀行カードローンと自己破産をそれぞれ見てきましたが、この二つに因果関係がありそうに思えてきませんか?しかし因果関係を明確に示したデータはありません。

実際、自己破産件数に影響を与える要因は多数あり、銀行カードローン残高だけで判断するのは違います。自己破産件数増加の原因が分からなければ対策のしようがありませんので、

法律を改正するところまでは進んでいないようです。